シングルマザーサポート団体全国協議会(SMSC)の全国大会in石川が、7月1日、2日、金沢市の金沢未来のまち創造館で開かれました。全国協議会にはひとり親を支援する全国35団体が加盟(7月1日現在)。大会はハイブリッド形式で行われ、1日目は会場45人、オンライン14人、2日目は会場42人、オンライン16人が参加。4つの講演を通して濃い学びを得ました。(以下、シングルマザーサポート団体全国協議会のホームページ記事より引用)

●全国協議会の4年間の成果を発表
全国協議会の成果について代表の赤石さんから発表がありました。「4年前にキックオフした全国協議会はこれまでにひとり親控除の創設、コロナ禍で苦しむひとり親支援に奔走し、臨時給付金の支給の実現にも寄与してきた。2022年度は、食料支援の総世帯数は61,173世帯、総支援人数は182,203人。また物価高の影響調査や共同親権制度への調査も行ってきたこと」が報告されました。

●協議会の法人化に向けて
全国協議会の今年度の大きなミッションは、法人化に向けた基盤整備です。2018年に法人化した『全国フードバンク推進協議会』の米山廣明代表理事は、国や行政へは全国組織を作ったから意見が言えるようになり、2018年のロビー活動が翌年には「食品ロス削減推進法」に結実するなど影響力を増したとおっしゃっていました。

●「こども家庭庁」、民間と協働した支援を目指す
今年4月に発足したばかりのこども家庭庁からは、支援局家庭福祉課企画調整官兼課長補佐の胡内敦司さんが登壇。
こども家庭庁には「総務課」「虐待防止対策課」「家庭福祉課」「障害児支援課」があり、家庭福祉課に「ひとり親家庭等支援担当」の企画官を置いています。この企画官が「ひとり親、低所得の子育て家庭へ支援、こどもの貧困」対策を担当します。「地域での子育て支援が必要。とりわけみなさんのような民間団体・NPOは相談が入りやすく重要な役割を担う」と話しました。来年4月には市区町村ごとに子育て支援の拠点となる「こども家庭センター」を設置し、身近な拠点から民間と協働して、アウトリーチ型や伴走型の支援を目指すそうです。ひとり親家庭への支援策も新規や拡充が見込まれています。

●子どもの『幸せ』を実現するには
日本大学教授でこども家庭庁こども家庭審議会こどもの貧困・ひとり親部会委員の末冨芳さんはオンラインで「こども基本法とこどもの『幸せ』(ウェルビーイング)―こどもの権利と最善の利益をどう実現するか?」について講演。末冨さんはおとな、とりわけひとり親への経済的な支援の必要性を説くとともに、すべての子どもたちが意見を聞かれ、声を上げ、自己決定できる日本を目指そう、と話されました。

●ジェンダーギャップ指数が最低の日本。DVの構造が理解されていない
2日目、産婦人科医、富山県議会議員で内閣府女性に対する暴力に関する専門調査会委員の種部恭子さんが「女性に対する暴力の根絶とジェンダー平等の達成に向けて」と題して講演。DVが女性の心身に与える影響は大きく、また子どもの面前でのDVは子どもの脳の発達に影響があることがわかっています。
種部さんは「ジェンダーギャップ指数が先進国で最低のままでいいんでしょうか?私たちは変えていくことができる」と力強く訴え、会場は大きな拍手に包まれました。

●LINEを利用した、ひとり親支援「石川モデル」
石川県に拠点を置くNPO法人『シンママ応援団』代表理事の小幡美奈子さんと金沢市こども未来局児童家庭相談室長の橋本行基さんがひとり親支援の「石川モデル」について紹介。市民を対象にした市のLINE登録者から、ひとり親家庭に特化したグループを作り、支援情報等の発信のプラットフォームとして今年度中の運用開始を目指しているそうです。

赤石千衣子代表は、支援世帯が増えれば、社会からの信用度は増して、行政にもニーズを伝えやすくなる、しかし、それによりさらにたくさんのミッションを背負うことになります。その矛盾に喘ぎながらわたしたちは活動を続けています」と述べました。

全国大会は全国の仲間たちの交流の場でもあります。久しぶり!の仲間とも、はじめまして!の仲間ともリアルに会える時間です。各団体の代表が、緊張の面持ちで始まった大会でしたが、小グループに分かれての自己紹介や交流を通して自然と笑顔が増えていきました。最後には「こんなに大変なことをしているのに、私たち、なんでこんなに前を向いているんだろう」と互いに泣き笑いの表情になり、大いにエンパワーメントされました。

末尾になりますが、衆参合わせて68人の国会議員の方々と馳浩・石川県知事から、全国大会開催お祝いのメッセージをいただきました。会場で読み上げ、また掲示もさせていただきました。連帯の表明やご支援、ありがとうございました。